−発見してすぐに行かれましたか

その時ドラマが入っていて忙しかったし、まさか自分ががんとは思っていないので、ちょっと様子を見て行きましょうと思ったんですが、主人が即行けと。固さがおかしい、不気味だと言うんです。本当にこりこりと堅かったんです。私の場合はトントンとノックしたら、トントンと返ってきそうな。
それでとりあえず、 知り合いの産婦人科の知り合いの先生が赤坂のTBSのスタジオ近くに診療所を持っていたので、TBSの仕事の合間に先生を訪ねて触ってもらったんです。触診した感じでは、こんなに大きくなっていたら随分痛くなっているんじゃない、みたいな感じだったんです。でも全然痛くないし、何も感じないんですと言ったら、大きい病院を紹介するから時間があったら行きなさいと。「僕の奥さんも3年に1度ゴリゴリができて、そのたびに切ってもらっている。それはしこりができやすいタイプで良性。だからそんな心配しなくても」ととても優しく言って下さって。それで安心してしまって、良い方に勝手に思って、大学病院への紹介状を2カ月持ったままにしていたんです。
それは本当に反省すべき点で。その時に恐れをなしてすぐ行けばよかったんですけど、ドラマで忙しかったのと、育児まっただ中で忙しくて、頭が回らない。それと生まれついての楽天家で、大丈夫だいじょうぶ、私ががんのわけがないという勝手な思いこみと、最初に診てくれたお医者様の私をナーバスにさせないように言ってくれたひと言が私をすっかり安心の道に連れて行っちゃったというか(笑)。そこは専門医ではないのに、お医者様が私の胸を触ったんだから、これは正しい診断だと勝手に思ってしまって。今のように情報もなく、パソコンでインターネットという時代ではなかったので、がんは年を取ってからかかる病気と勝手に思っていた。知識が何もなかったんです。